さくらももこさんのエッセイ集『もものかんづめ』を読みました。
さくらももこさんといえば、漫画『ちびまる子ちゃん』の作者として知られています。私自身も『ちびまる子ちゃん』には親しみがあり、まる子と家族の日常を描いた作品から、さくらももこさんの独特なユーモアを知っていました。
しかし、『もものかんづめ』を実際に読んでみると、漫画とはまた違った形で、さくらももこさんの「物事を見る目」や「文章で人を笑わせる力」を感じることができました。
この本を読んで特に印象に残ったのは、特別な事件や壮大な体験ではなく、私たちの身近にある何気ない出来事が、さくらももこさんの文章によって、とても面白いものに変わっていることです。
今回は、さくらももこさんの代表的なエッセイ作品である『もものかんづめ』を読んで感じたことや、『ちびまる子ちゃん』との共通点、そして日常を文章にすることの面白さについて書いてみたいと思います。
『もものかんづめ』とはどんな本なのか
『もものかんづめ』は、漫画家・さくらももこさんによるエッセイ集です。1991年に刊行され、その後も長く読み継がれている、さくらももこさんの代表的なエッセイ作品の一つです。
タイトルだけを見ると、果物の桃が入った缶詰について書かれた本のようにも思えます。しかし、実際の内容は、さくらももこさん自身の体験や日常生活を題材にした、ユーモアあふれるエッセイです。
水虫の治療、アルバイト、仕事、家族、友人、日常生活で起こった出来事など、一つ一つの題材は決して特別なものばかりではありません。
それなのに読んでいると、思わず笑ってしまいます。
「こんな普通の出来事を、どうしてここまで面白く書けるのだろう」
これが、『もものかんづめ』を読んで最初に感じたことでした。
何気ない日常が、なぜこんなに面白いのか
『もものかんづめ』の最大の魅力は、日常の中にある小さな出来事を、さくらももこさん独自の視点で捉えているところだと思います。
例えば、私たちが普段の生活で経験する出来事の中には、その瞬間には特に意味がないように思えるものがあります。
誰かとのちょっとした会話、仕事中の出来事、家族とのやり取り、失敗した経験、恥ずかしい思いをしたことなどです。
普通なら、「そんなことがあった」で終わってしまうかもしれません。
ところが、さくらももこさんは、その出来事を細かく観察し、自分自身の感情や周囲の反応を交えながら文章にします。
その結果、単なる出来事が一つの「面白い物語」へと変わっていきます。
私はここに、さくらももこさんの文章の大きな才能があるのだと思いました。
自分の失敗まで笑いに変えてしまうところが面白い
もう一つ印象的だったのが、自分自身の失敗や格好悪い部分も、隠すことなく文章にしていることです。
人間は誰でも、できれば人に知られたくない失敗や恥ずかしい思い出を持っています。
私自身も、「あのとき、なぜあんなことをしてしまったのだろう」と後になって思う経験があります。
そうした出来事は、できるだけ忘れてしまいたいと思うものです。
しかし、さくらももこさんは、そうした出来事を逆に笑いの材料にしています。
失敗を失敗のまま終わらせず、「面白い思い出」に変えてしまう。
この考え方は、とても魅力的だと思いました。
人生では、何もかもが順調に進むわけではありません。失敗することもあれば、恥ずかしい思いをすることもあります。
でも、時間が経ってから振り返ってみれば、「今となっては笑える話」になることもあります。
『もものかんづめ』には、そうした人間の弱さや可笑しさを、深刻になりすぎずに受け止める温かさがあるように感じました。
『ちびまる子ちゃん』と共通する魅力
『もものかんづめ』を読んでいると、『ちびまる子ちゃん』との共通点を感じる場面もあります。
『ちびまる子ちゃん』では、まる子の日常生活を中心に、家族や友達、学校での出来事などが描かれています。
そこには、世界を揺るがすような大事件が毎日起こるわけではありません。
宿題をしたくなかったり、学校で友達と話したり、家族とテレビを見たり、何かを欲しがったりするような、ごく普通の日常が描かれています。
それでも、読者は面白いと感じます。
『もものかんづめ』も同じです。
ただし、『ちびまる子ちゃん』が漫画という形で子どもの視点から日常を描いているのに対して、『もものかんづめ』では、大人になったさくらももこさん自身の視点から日常を描いているという違いがあります。
そのため、『ちびまる子ちゃん』を好きな人が読むと、「この独特の感覚は、やっぱりさくらももこさんらしい」と感じられるのではないでしょうか。
「くだらないこと」にも価値がある
この本を読んで、私は「くだらないこと」についても考えました。
私たちは普段、役に立つものや重要なものに価値を感じがちです。
仕事、勉強、お金、将来のことなど、真剣に考えなければならないことはたくさんあります。
しかし、人間の生活は、それだけで構成されているわけではありません。
何となくテレビを見たり、誰かとくだらない話をしたり、ちょっとしたことで笑ったり、失敗して落ち込んだりする時間もあります。
その瞬間には「何の意味があるのだろう」と思うような出来事でも、後から振り返ると、それが大切な思い出になっていることがあります。
『もものかんづめ』は、何でもない日常にも面白さや価値があることを教えてくれる作品だと思いました。
特別な人生を送らなければ面白い文章が書けないわけではありません。
身近な出来事をどのように見るかによって、同じ日常でも全く違ったものになるのです。
文章を書く人にとっても参考になる作品
『もものかんづめ』は、文章を書く人にとっても非常に参考になる作品だと思います。
ブログやnote、SNSなどで文章を書く場合、「何か特別なことを書かなければいけない」と考えてしまうことがあります。
珍しい体験や専門的な知識がなければ、読者に興味を持ってもらえないと思ってしまうからです。
しかし、『もものかんづめ』を読んでいると、必ずしもそうではないことに気づきます。
普通の出来事でも、視点と表現を変えれば、読者にとって面白い文章になる。
これは文章を書くうえで、とても重要なことだと思います。
例えば、駅に行った、電車に乗った、街を歩いた、食事をしたという経験も、単純に「行きました」「食べました」で終わらせるのではなく、そのとき何を感じたのか、何が印象に残ったのか、どんな発見があったのかを書けば、読者にとって価値のある記事になる可能性があります。
さくらももこさんの文章には、そうした「日常を観察する力」があります。
タイトル『もものかんづめ』も印象に残る
作品そのものだけでなく、『もものかんづめ』というタイトルも印象的です。
一度聞いたら忘れにくく、何となく気になるタイトルです。
「もものかんづめ」と聞けば、普通は桃の缶詰を想像します。しかし、本を読み進めていくと、そこにはさくらももこさんの独特なユーモアが詰まっています。
まるで、日常生活の中から面白い出来事を拾い集め、それを一つの缶にぎゅっと詰め込んだような印象があります。
タイトルからして、さくらももこさんらしい遊び心を感じられる作品だと思いました。
読書を終えて感じたこと
『もものかんづめ』を読み終えて、私が一番強く感じたのは、人生は特別な出来事だけでできているわけではないということです。
毎日の生活には、小さな出来事がたくさんあります。
その一つ一つは、その場では何とも思わないかもしれません。
しかし、少し時間が経ってから振り返ると、「あれは面白かったな」「あのときは大変だったな」と思えることがあります。
さくらももこさんは、そうした日常の小さな出来事を見つけ出し、独特のユーモアを加えて文章にしました。
その結果、本人にとっての日常が、読者にとっても楽しめる作品になっています。
「面白い人生」とは、必ずしも特別な人生ではないのかもしれません。
どこにでもある普通の毎日の中にも、見方を変えれば、笑えることや人に伝えたくなることがたくさんあります。
まとめ――何気ない毎日を少し違った目で見たくなる本
『もものかんづめ』は、難しい知識を学ぶための本でも、人生について堅苦しく語る本でもありません。
気軽に読み始めることができ、文章の面白さを楽しみながら読み進められるエッセイ集です。
それでいて、読み終わった後には、自分自身の日常を少し違った角度から見てみたくなります。
「今日、何か面白いことはなかっただろうか」
「以前は嫌だった出来事も、今なら笑えるのではないだろうか」
そんなことを考えるきっかけを与えてくれる作品でした。
『ちびまる子ちゃん』が好きな人はもちろん、さくらももこさんのエッセイを読んでみたい人、気軽に楽しめる読書をしたい人、日常の何気ない出来事を題材にした文章が好きな人にもおすすめしたい一冊です。
特に私がこの本から学んだのは、「日常には、まだ自分が気づいていない面白さがある」ということです。
普段の生活で起こる出来事を、ただ通り過ぎてしまうのではなく、少し立ち止まって見てみる。
そこに何か面白いものを見つけることができれば、いつもの一日も少し違って見えてくるのかもしれません。
『もものかんづめ』は、そんなことを楽しく教えてくれる一冊でした。
何気ない日常を笑いに変える――それこそが、さくらももこさんの文章の大きな魅力なのだと思います。
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